蒼の国-TS Version/WINGLESS2- |
|
「どうしたのですかっ、これはいったい、、、」
驚く帝斗に紫月は意を決したように自分のすべての思いを話し始めた。
許してくれ帝斗。俺はお前を愛してた、昔プロダクションのあの部屋で、俺とお前は幸せだった、、、、
けど倫が来て、お前は倫に惚れてそして倫もお前を。そんな2人に嫉妬して俺は倫に酷い仕打ちを
与えたんだ。倫を犯して俺のものにしてお前に見せつけた。
それだけじゃ足りなくて俺は倫を毎日抱き続けて快楽の味を刻みつけ、そして突き放した。
俺なしじゃ耐えられなくなった倫の身体が他の誰かを彷徨うように、倫がいろんな奴と関係を
持ってはどんどん穢れていくのを楽しんでた。
だが倫はそんな俺にもまだやさしい気持ちを向けてくれたんだ。
帝斗、お前は知らなかっただろうけど俺は蒼国に来る前に覚醒剤に手を出しちまったんだ。
抜けられなくて、身体が酷く辛くて。だけどそんな俺を倫は包んでくれた、自分をこんな酷い目に
遭わせたこの俺の身体を心配して一生懸命気使ってくれて。
俺はすごく辛かったんだ、そんな倫のやさしい気持ちが辛くて痛くて。
一生懸命心配してくれる倫を俺は乱暴に抱き続けたんだ、だけど倫は文句ひとつ言わなくて。
いつしかそんな倫をいつも探して求めているいることに気がついてしまって、俺は怖くなって
そんなこと認めたくなくて又酷い目に遭わせた。知らないうちに俺は倫に縋ってた。
一番憎んでたはずの倫に縋ろうとしてる自分が許せなかった。
俺は最低の人間だ、帝斗お前から倫を取り上げて酷い仕打ちを与えた、お前らを不幸のどん底に
突き落とした。どう謝ったって許されるなんて思ってないっ、、、だけどっ、、、
そんな俺に倫は助けを求めてきたんだ、こうしてここに、、、
この様子からして恐らくは誰かに暴行されたんだろう、此処に来たときは酷い状態で、ここまでだって
どうやって辿り着いたのか不思議なくらいだった。だが倫はこんな目に遭ってさぞ辛かったんだろう、
俺に助けを求めて来たんだ、さっき、ここで倫は俺を見るなり自分からキスをして俺に抱いてくれって
言ってきた。こんなになって尚、自分の身体を差し出して、自分を抱く代わりに助けてくれとでも
いうように俺に縋ってきた。自分を一番酷い目に遭わせたこの俺がこいつの最後の救いだなんて、、、
こんなっ、、身体を引き換えにさせるようなまねさせてっ、、、俺はどうしていいかわからないっ、、、
代わってやれるものなら俺が代わってやりたいっ、、、暴行を受けなきゃならねえのは俺の方だよっ、、、、
許してなんて言えないよな、帝斗っ、倫っ、、、すまねえっ俺がお前たちをっ、、、苦しめたっ、、、
紫月は一通り話すとその場に泣き崩れてしまった。床に頭を擦り付け、まるで土下座するように泣いて。
帝斗は黙って話を聞いていたがその瞳も又涙でいっぱいにしていた。
「ご、めんなさい紫月さん、、、悪いのは僕です。僕があなたを裏切って倫周に心を寄せて、、、
あなたと倫周を辛い目に遭わせてしまった、悪いのは僕です。」
帝斗は紫月の肩を包み込むように抱き締めると自らも溢れ出る涙が止まらなかった。
帝斗が紫月の腕からするりと抜けてしまったあの衝撃の夜から何年の月日が流れただろう、
こうして心からの気持ちを伝えて向き合うことがもう少し早かったなら、お互いがこんなに傷付くことも
無かったのに、そして何も罪のない倫周を辛い目に合わせることも無かった。
帝斗と紫月は抱き合い、涙し合いながら自分たちの浅はかさを後悔して止まなかった。
そうして三国志の時代で過ごしていく内に、様々な出来事が通り過ぎて行った。
帝斗と紫月はお互いに心の内を話し合ったことで今までのつかえが一気に取り払われたようだったが
そうなって尚、紫月は帝斗を取り戻すことを潔しとしなかった。
あんなに望んでいた帝斗を取り戻すこと、帝斗をその腕に抱き締めることを紫月はずっと拒んでいた。
それはやはり倫周に対して酷いことをしてしまったという後悔と懺悔の念からか、自分が幸せになる
ことはどうしても許せなかったようだった。帝斗も又、そんな紫月の気持ちを察するようにか、特別に
何を望むこともしなかった。それはやはり紫月の行動を知っていて何も言わずに倫周を引き渡して
しまったことへの罪悪感からか、紫月と同じように自分が幸せになるということが許せないといった
ふうだった。だがやはりお互いに正直な気持ちをぶつけられたことで以前よりは心がすっきりとした
ようではあった。
お互いを見つけるとどちらからともなく緩やかな微笑を交わし、会話も自然なものになっていた。
2人の間ではお互いを求め合っているのを強く感じながらもそうすることを潔しとしない、何も
言わなくてもそれだけは伝わっていた。
帝斗、俺はお前を愛している。こうなった今、お前へのこの溢れるばかりの愛情をはっきりと
確認することが出来たような気がするよ。だけど、多分俺はそれを口にすることは無いだろう。
おそらくはこの先もずっと。お前と幸せになることは無いだろう。そう、俺にはそんな資格は無い。
倫を傷つけた償いを俺は一生かけてしていくつもりだ。
愛してる帝斗、お前に出会えただけで俺はこんなに幸せだ。何でこんなことに今まで気がつかなかった
んだろうな。お前を自分のものにすることだけを考えて、我がままだったな。
ああだけど俺はとても穏やかだよ、あの嵐のような日々が嘘のようだ。もっと早くお前に謝って
いれば、心のままを伝えていれば倫をあんなに辛い目に遭わせることもなかったろうに、、、
ごめんよ倫。俺はどんなことをしてもこれからお前に償っていくよ。本当に許しておくれ、、、、 |
 |
|
|