蒼の国-TS Version/Drag- |
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次の日も紫月は同じ林道の同じ場所で倫周を待っていた。
「紫月っ、、、」
その姿を映した途端、倫周の大きな瞳は不安の色に沈み込み、身体は硬直して動けなく
なってしまった。
蒼白い顔をしながらその場に立ち尽くしている倫周に、ゆっくりと歩み寄ると紫月は昨日と
同じように強い力で抱き寄せた。
「やだっ、、嫌だっ、、、!」
とっさに腕の中から逃げようとする倫周の上衣を引き剥がすと紫月はそれを林の中に放り投げて
しまった。同じようにして帯やら何やら次々と解きながらすべてを放り投げられて。
「そんな格好じゃ帰れないよね、倫。」
紫月はうれしそうに言った。
「何で、、何でこんなことするんだ、、、酷いよ紫月、、俺が孫策のことを好きなのを知ってるくせに、、
もうやめてくれよっ、こんなこと二度としたくないって、昨日そう言ったじゃないかっ!」
身を屈めながら抗議の視線を送ってくる倫周をぐい、と引き上げると又も紫月は強引にその細い
身体を弄り始めた。
「嫌だっ、、嫌だって言ってるのにっ!放せよっ!」
さすがに倫周の声も荒がって、、、
「何が嫌なんだよ、、孫策、孫策ってうるせえんだよっ!好きなくせに、、、お前だってこうされんのを
望んでるくせによっ、、、」
紫月も又、声を荒げると抵抗する身体を乱暴に地面に突き飛ばした。
突き飛ばした身体を組み敷いて、、、
「嫌だ何だって言ったってお前は逆らえやしねえよ、そういうふうにしたんだから、この俺が。
誰かに抱かれなきゃいられないように、そうなるように毎日毎日お前を抱いて、中毒になるくらい。
俺なしじゃいられないようにしたんだから。見てろよ倫、どんなに逆らったって無駄だってことを
証明してやるよ。どんな綺麗事なんか言ったって所詮お前は只の好きものだってことをさ、
わからせてやるよ。」
自分を見下ろしながらそう言った褐色の瞳が冷たく色を失くしている、まるで感情の無い、冷たい
言葉に倫周は自分の中から次第に抵抗する気力が失われていくのを感じていた。
「やめ、、て、、、紫月、、、お願い、だか、、ら、、、、、」
自然と涙が込み上げてきて。
けれどもそれと同時に紫月の言った通り、身体の方も熱く反応してしまい、、、
紫月の指が白い背中を這う度に、熱い唇が胸元に触れる度にどんどん流されて。
込み上げる熱い感覚、湧きあがるぞわぞわとした震え、そして次第に噴き出してくる汗とともに
身体中が紫月に支配され、自らの意思でその胸に寄り掛かって、、、
「やめて、、紫月、、、紫月、もう、、、、」
嫌、嫌だ、、、嫌なのにっ、、、ああだけどっ、、、
ほとばしる汗とともにがっくりと力の抜けた身体を紫月の胸元に預けて倫周は荒くなった呼吸を
抑えるように身体を強張らせた。
紫月は自分の手のひらいっぱいに溢れ出た甘い蜜を見つめながら満足そうに微笑むと、そのまま
倫周の頬に持っていった。
静かに紫月の手が白い頬を撫でて、、、
ぬるりとした感覚が身体中の神経を尖らせた。
「やっ、、、」
一瞬びくり、と身体を屈めて逃れようとしたが紫月の腕はしっかりと倫周の細い肩を支えながら
低い声が囁いた。
「これ、何だ倫、、?これ、、、ほらよく見ろよ。俺のじゃないぜ、、?お前のだ。
な?分かったろ倫、どんなにしたってお前は逆らえないってことがさ。だから、、、」
そう言い掛けたとき、倫周の手が紫月の頬をぱん、と叩いて、、、
「痛っ、、、」
紫月は一瞬驚いて頬に手をやったが、倫周は真っ青になりながらその瞳は驚愕と怒りで震えていた。
「酷、、いよ紫月、、、そんなことされれば誰だってそうなるさ、、、自分で酷いことしておいて、、
よくそんなことが言えるよね、、、、最低だよっ、、、!あんたの方がよっぽど汚いじゃないかっ!」
そう言いながら紫月の胸倉をつかんで揺さぶるとを勢いよく突き飛ばした。
突き飛ばされた拍子に紫月の腕が地面に擦れて血が滲み出して、、、
2人はお互いに睨み合うと、取っ組み合いの争いを始めた。
最初に紫月が倫周を組み敷いて頬を殴り付けると、倫周も紫月を突き飛ばしてはすぐさま上体を
起こした。しばらくそうして殴り合っていたが、、、
はあはあと荒い呼吸を抑えながら紫月は吐き捨てるように言った。
「大体っ、孫策孫策って言うけどなあっ、最初にお前を愛してるって言ったのは俺の方じゃねえかよっ?
お前は孫策が初めて愛してくれた人だー、なんて思ってるみてえだけど?
俺は前からちゃんとお前に好きだって言ってたはずだぜ?
それなのにお前は後からきた孫策にころっとほだされてよっ、じゃ俺は何なんだよっ、此処に来る前
だってあんなにお前を愛してやったのによっ、お前を抱いて、デートにも連れてってやったじゃねえかっ、
あんなに可愛がってやったのに、、、お前ときたらそんなことは無かったことみてえに遼二とも
いちゃついてよっ。で、こっちに来りゃ孫策なんかと出来ちまって、、、、俺と孫策のどこが違うって
いうんだよ?俺だってちゃんとお前に好きだって言ったじゃねえかっ、お前だって俺を好きだって、、、
俺に抱かれながらいつもそう言ってたじゃねえかっ、帝斗のことだって、、、俺はあんなに理解して
やったのにっ。お前が帝斗を忘れられねえんなら俺を代わりにしてもいい、とまで言ってやってよ、
なのに何が気にいらねえんだよっ!何が違うってんだよっ、、、!」
切れた唇から血が滲み出して、その傷口を更に押し広げるかのように紫月は怒鳴った。
怒鳴ったけれど、、、
「違うもん、、、、」
静かに倫周は呟いて、、、
「何が、、?何が違うんだよ、言ってみろよ、、」
「紫月は俺を愛してない、、、好きだっていうのも嘘だよ。」
「何言ってんだっ、、、都合のいいことばっかりっ、、、」
紫月は又荒がって、その手が倫周の頬を叩こうとしたした瞬間。
「わかるさっ、紫月は俺を愛してなんかいないっ、紫月が本当に好きなのは帝斗だよっ!
そんなこと言われなくたってその瞳を見ればわかるさっ、いつも俺を抱きながら、言葉では
好きだって、愛してるって言いながら心の奥底ではいつだって帝斗を想ってる、、、、
全身からそれを感じる、痛いくらい感じるんだ、、、あんただって俺を帝斗の代わりにしてるくせにっ、、、
孫策と違うのはそういうことだよ、、、孫策は本当に俺を愛してくれた、、、
そんなことくらいわかるさっ、、、」
突然の、思いもかけなかった倫周の言葉に紫月は驚愕の表情を浮かべた、しばらくは何も言葉が
出てこなくて。
「、、、のせいだよ、、お前のせいじゃねえか、、、
もともとはお前のせいだろっ!?お前が帝斗を盗って、だからっ、、、だから俺はこんなに苦しんでっ、、、
心の底では俺が帝斗を想ってるって?お前を帝斗の代わりにしてるって?
じゃ何でお前は黙って俺に抱かれ続けてきたんだよ?俺を哀れだと思ってたってわけかよ?
俺が可哀相だから?帝斗に逃げられて俺が気の毒だから黙って俺の言いなりになってやってたとでも
言うのかよっ!?」
紫月は倫周を突き飛ばして再びその細い身体を組み敷くと、両腕を押さえつけて頬を思いっきり
ひっぱたいた。
何度も叩いて、、、
「やめてっ、、、やめて紫月っ、、、痛い、、、痛いよっ、、」
「うるせえっ、、、生意気言いやがってっ、お前なんかっ、お前なんかにっ、、、」
何度も何度も倫周を殴りながら、紫月の褐色の瞳は込み上げた涙で溢れていた。
「そんなに言うなら責任取れよ、、、お前が盗った帝斗の代わりを、一生やり続けろよ。
一生俺に抱かれて、何されたって文句言うなっ。それから、二度と遼二にも抱かれるなよ。
お前は一生俺のもんだよ、俺の好きなときに好きなようにする、俺の所有物になれよっ!」
ぼろぼろと涙を流しながら紫月は倫周を拘束して、、、
「やめ、、て、、、紫月、、、お願い、だか、、ら、、、、、」
「うるせえ、、、お前は俺のもんだ、俺のものだった帝斗の代わりだ。そうだろう?俺の愛してた
帝斗の、、、一生こうして抱いてやるよ。どうせお前だって嫌いじゃねえだろ?抱いてくれりゃ
誰だっていいんだもんな?、、、、ははははっ、感謝しろよ倫。ずっと気持ちよくしてやるんだ、
うれしいだろう?」
あははははっ、、、、
高らかに紫月は笑い声をあげて。
その頬にはまだ流れて落ちる涙が止まらなかった。
次の日も紫月はそこにいて。
「紫、、月、、、、」
倫周は硬直したが、と同時にほんの一瞬であったがほっとしたような気持ちにもなった。
ああ今日も又震えることなく夜中に飛び起きることも無い、こうして紫月に抱かれれば身体が
満足して落ち着いて、、、
紫月のせいにしてしまえばいい。俺は嫌がったのだけれど紫月が無理矢理に俺を抱いて、、、
だから俺には罪は無い。そうすべてを紫月のせいにしてしまえば。
だって紫月はあんな酷いことを言ったんだ。一生帝斗の代わりだなんて。そう、紫月は酷い人間だ、
欲望にまみれた酷い奴、そんな奴が無理矢理俺を犯しているんだから、俺は何も悪くなんか
ないんだから、そう思えば、、、
ああだけど、、、、
「いいんだろう?倫、、、気持ちいいだろう?一生よくしてやるよ、そう、そういうお前好きだよ、、、
素直なお前。可愛いよ倫、あんまり可愛いからほら、ご褒美だよ、、、」
「、、やっ、、、ぁあっ、、ああぁっ、、、、」
気持ちいい、、、この瞬間が、気持ちよくてたまらなくて、、、、
「ぁあっ、紫月っ、もっと、、、もっとっ、、、」
身体が震える、もっともっと乱して欲しいと思う、紫月紫月、、、もっと、、、
孫策を想う心とはうらはらに俺の身体は紫月を求めて止まないんだ、、、! |
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