CRIMSON Vol.8 |
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そんな或る日のこと、紅月と紫月兄弟にとって決して忘れられない衝撃的な出来事は
突然の如く降って湧いたように訪れた。
今まで若さと興味故のいたずらな軽い気持ちでお互いの性を求め合う行為を繰り返していた2人に
只の戯れでは済まされなくなっていくきっかけになったその出来事は午後の自宅の図書室で起こった。
大財閥だった一之宮家は壮大な敷地の中に中世の城のような造りの屋敷を構えていて、だから
その中には当然、専用の図書室なども設備されていた。
それは高校が夏休みに入って間もなくの午後のことだった。
課題のレポート作成の為に自宅の立派な図書室で調べ物をしていた紅月と紫月は高い書棚にある
本を取り出す為に四苦八苦していたとき。
慣れない脚立に紫月がよじ登り下から紅月が支えて少々重たいその本を取ろうと手を掛けた瞬間、
バランスを崩した紫月は危うく脚立から落ちそうになり・・・
「わっ、、、!!」
「紫月っ!?」
「大丈夫っ!?紫月っ!」
とっさに脚立につかまってなんとか無事に床に降りることが出来たものの紫月の腕からは
真っ赤な鮮血が溢れ出ていた。
降りるときに脚立のどこかにでも引っ掛けてしまったのだろう、特に痛みは感じられなかったが
出血の量だけは驚く程だった。
「大丈夫!?紫月っ、酷い血だっ、、、、今薬をっ、、」
「平気・・・紅・・・見た目程痛くねえよ。おかしいなあ・・・ははっ、でもこれだけ見るとちょっと
ビビるよなあ・・・・あ、でもホント平気だからさ!それよかケツ痛ェ・・・打っちまったみてえ・・・」
「どこ?平気、、、、?」
ハラハラと紅月は紫月の腰元をさすりながら顔色を真っ蒼にしていた。
「はっ、ばっかだなあ・・・紅ちゃん、お前が蒼くなってどうするよ?血ィ、出たの俺なんだぜ?」
「そ、、そうだけど、、、」
「でもホント変だよなあ・・全然痛くねえし。傷もそんな深くねえのにな・・・・」
「ホントに痛くないの?紫月、見せて、、、」
まだ蒼い顔をしながら紅月は鮮血が滲み出ている腕を取った。
「紫月、、、でも痛そうだ、、、、」
そう言いながら流れた血の痕をそっとなぞる。
しばらく不安な表情でいっぱいにしていたがやがてその腕に自身の頬を擦りつけるようにしながら
小さな声で呟いた。
「よかった、、、大怪我しなくて、、、このくらいで済んでホントに、、、、よかったよ、、」
そのままするりと胸元に顔を埋めて切なさでいっぱいにしたように瞳を閉じると頬刷りをしながら
しがみ付いた。
「紫月、、紫月、、、、」
「何だよ、もう平気だってよ。おい、紅月・・・・」
「いいから、、、こうしてて、、、、今はっ、、、このままいたいんだ。」
「紅・・・・」
冷房の効き過ぎているくらいの誰もいない図書室の、本棚のビルの影でぴったりと抱き合って。
2人は何を話すこともなくしばらくそうしてじっとしていた。
「お前が、、、、もしもお前に何かあったら俺は、、、、生きていけないっ、、、」
「何言って・・・おい・・・・紅・・・?」
ふいと覗き込んだ紫月の瞳に潤んだ大きな瞳が重なった。
「何泣いてんだよ?ヘンなヤツだな・・・こんくらい平気だってよ。」
「だってっ・・・・」
紫月、、紫月、、、好き、お前がいなきゃ俺はもう独りでなんて生きられない、、、
お前といつも一緒にいなきゃ不安なんだ、、、どこへもいかないで、、独りにしないで、、、、
「紫月っ、、、お願いっ、、、キスして、、、、」
「え・・・?今?」
「そうっ、今っ、此処でっ、、、、」
「はっ、何だよー・・・」
少し呆れたようにくすっと微笑むとそれでも紫月は切なさでいっぱいにした紅月の瞳に
自らも瞳を細めながらそっと唇を重ね合わせた。
軽く、軽く、触れては離し、又触れては離して。
お互いを見詰め合う瞳が次第に熱く逸ってくるのがわかる。
紫月は涙で濡れた紅月の頬に手をやるとそのまま強く唇を奪い取った。
若さ故、その後に引かれた道筋におもしろいように流されていくのは当然の如くであった。
肩を抱き寄せ、指と指を絡ませてお互いの唇を、頬を、首筋を夢中で奪い合ってゆく。
がたん、と本棚にぶつかっては向きを変えて2人は激しく求め合った。
「なあ紅・・・ほらこれ見てみ?」
「え、、、?」
「これ・・・さっきの血さ・・・何かやばい感じしねえ?」
「えっ、、?痛いのっ?」
「違うよ・・・そうじゃなくてほら・・こんなに飛び散ってんの見るとさ、何かヘンな気分になってくる・・・」
「変って、、、?」
先程紫月の腕から流れ出た血液は少し激しく動いたせいでお互いの衣服から本棚の淵などに広がって
しまったらしくふと目をやれば色々なところに飛び散っていた。
「だからさ、何かやばい気分・・・」
「やばい、、、って、、?」
「ん?な〜んかさ、酷いことしたみてえでさ?うまく言えないケド・・・」
そう言うと紫月はきょとんとしている紅月の腕をぐいと引き寄せてそのまま本棚に押し付けた。
驚いて瞳を大きく見開いている紅月の首筋を見詰めてくいと瞳を細めると突然に着ていたシャツを
引き裂いた。
「紫月っ・・・!?」
「紅、、、何かお前をめちゃめちゃにしてみたいとかさ、、、何だかヘンな気分、、、、
酷いことしたくって、、、、」
「紫月・・・・・」
「この、、血が、、、、ヘンな気にさせるんだ、、きっと、、、、なあ紅、、、、」
そう言って少々切なそうに繭を顰めると紅月の驚いた瞳を食い入るように見詰めて呟いた。
「ほら、、紅、、、これ、、このぬるぬるした感じがさあ、、、、気持ち悪ィ、、、ほらー、、、」
自分の腕から未だつらつらと流出している鮮血を紅月の胸元にぐりぐりと押し付けて、
紫月はそのまま紅月にくちつ゛けた。
強く強く くちつ゛けて・・・・
「・・・うっ・・・んんっ・・紫っ・・・・月・・・・」
「な、紅ちゃん、やって、、、、ね、ココ、、、舐めて。」
紫月は自らズボンのファスナーを開くと自身の既に逸ったモノを紅月の唇に押し付けた。
半分虚ろな瞳を漂わせながらも紅月も愛しい者の欲望を受け止めていく。
差し出された熱いものを奪い取るように口に含んでいった。
「はっ、、、、紅月っ、、たまんねえ、、、、すげ、、ぇ、、イイ、、、」
「紫月・・・紫っ・・・・」
「なあ、紅、、、もっとっ、、、もっとソコ、先っぽ舐めて、、、、」
「うん・・・ココ?こっちの方がいい?」
「、、、、っ、、、あ、、ぁ、、そこ、、、、そう、、、、」
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