CRIMSON Vol.79 |
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「帝斗、、、、俺、、、、、」
俺はバカだ、、、、
本当に、、、こんなになって尚 体裁なんか取り繕おうなんて、、、、すげえみっともねえな、、、
どんなふうに云うかなんて本当はどうでもいいことなんだよな、、、、
大事なのは、、、、
そんな上っ面のことじゃなくて、、、
上手に云おうなんてことはどうでもよくって、、、
素直になる気持ちなんだってこと、、、、帝斗が残してくれたメッセージ見て痛い程思ったのに、、、
まだカッコつけようとしてるなんて呆れちまうな、、、
もしか上手く伝わらなかったらどうしようとか。そんなことを思うのはつまりは自分が傷つきたくないって
それだけなのに、、、、
帝斗に拒否されたら辛えからとか、、、まだ俺そんなこと思ってる、、、
ホント、どうしょうもねえ馬鹿野郎だぜ、、、、
さんざん辛い思いをさせてきたのは他でもねえ、、この俺だってのによ、、、、
マジで自己嫌悪通り越してる、、、、
でもよ帝斗、、、、
こんなどうしょうもねえのも俺なんだ、、、、そんな自分を少しは変えようって努力はするつもりだけど、、、
けど、、、そんな急に変われるもんでもねえってこと、、、自分で一番よく分かってる、、、
だから、、、、
本当はそんな我がままなところも全部理解して包んで欲しいって、、、それが本心、、、
誰よりも我がままで誰よりも酷いとんでもない野郎だけど、、、
でも誰よりもお前のことを必要としてて、、、
独りでなんかいられなくって
気が小せえし、、、だらしねえし、、、、、勝手だし、、、、
でも誰よりもお前を必要としてる
誰よりもそばにいて欲しいって思う
誰よりもお前のことを、、、、、
高鳴る鼓動を抑えながら紫月の唇が微かに動いたそのとき・・・・・
「紫月さん」
クスクスと微笑みながら向けられた瞳が何も云わずとも今思った心の中を理解しているようで
紫月は一瞬きょとんと瞳を見開いたままその場に立ち尽くしてしまった。
にっこりとやさしい瞳が見つめている・・・・
穏やかで静かな瞳が真っ直ぐに見つめてくれている・・・・・
紫月も又そんな帝斗の様子に何も言わずともその心の内が読み取れるようで、緊張して逸っていた表情が
次第に緩み出し、そして帝斗と同じように穏やかになっていくのを感じていた。
にっこりと無言のままで互いを見つめ合ったまま大の男が空港ロビーに2人・・・・
紫月はゆっくりと帝斗の頬へと手を添えるとクイと身体ごと引き寄せるようにした。
「ええーーーっ・・・・!???ウソッ・・・・」
「マジ・・・!!!?」
「何なに?何してるって?」
「うそっ、、、しちゃうわけこんなトコでっ、、、、!!???」
「やっだ〜〜〜、だってアレってオトコ同士じゃない〜〜〜?」
「だってマジでヤバっぽい・・・・よ?」
「ほらぁ〜、、、あっ、あっ、、、抱き合った、、、、、ウソ、、、マジ???」
ロビーのあちらこちから遠巻きに黄色い歓声が上がり出し・・・・
だがそんなことは最早耳になど入らないのだろう、帝斗を見つめる紫月の瞳は心なしかとろけ出しても
いるようだった。
ふいと軽く頬に添えた手のひらがさらさらと揺れる金色の髪を掴んだ瞬間に熱く熟れた唇から短い言葉が
漏れ出した。
「愛してる、、、、帝斗」
そう言った瞬間に逸った唇を重ね合わせて・・・
「きゃああああ〜〜〜〜!!!!」
歓喜の声があちらこちらで飛び交って広いロビーに木魂した。
「信じらんな〜〜〜い・・・・まじでしちゃったよキ・・・キス・・・・・」
「ほんとーーー!やだぁ〜〜〜、キスキスキス〜〜〜!きゃあ〜〜〜・・・・」
まるで2人を祝うかのような黄色い歓声が到着ロビーをしばらくの間賑わせていた。
そう、、、これが一番伝えたかったこと。帝斗愛してる、、、、
誰よりもお前だけを、、、愛してる、、、、
言葉など今はいらない、、、
何も言わなくてもいい、、、
俺の心のすべてを表すにはこれが最高の言葉なのだから、、、、
あとは、、、、
たくさん言いたいことあるけどそれは又今度伝えるよ
俺が今の今まで思ってたくだらねえことも、お前を心から必要としてるってことも、
何もかもすべては今度、、、、
お前がしてくれたように想いのすべてをコピーして、、、、お前の心に貼り付けるから、、、、
今はこれだけ、、、
一番云いたいひと言だけをお前に告げよう
「愛してる、、、、、」
重ね合わせた唇の熱さを受け入れるように帝斗の唇が僅かに開かれたとき、背に回していた手が何かを
決意したように一瞬握り締められ・・・・・
永いときを経てようやくと辿り着いたものを確かめるように紫月の腕にぎゅっと力が込められた。
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〜FIN〜 |
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