CRIMSON Vol.67
「どうなの紅? ん? 

あの日傷ついたお前を見て気の毒に思って、、、、帝斗は身を引いてくれたんだぜ?

アレ以来俺と帝斗の仲はめちゃめちゃさ、、、、会話だってぎこちないし、だから仕事だってすごい

支障があるんだぜ?

言わなかったけど俺、、、、、お前が心配するといけねえと思って黙ってたけど?

俺たちは、、、、俺と帝斗はもう元には戻れない。完全に壊れちまったんだー、、、、、、

そうしたのは、、、、お前だよな?

すっごくうまくいってた俺たちの仲を引き裂いて二度と戻れない関係にしちまったのはお前。

だろ?

でも俺は怒ってなんかねえよ?今じゃお前のこと帝斗よりも愛してるし。

本当だよ紅?

だからお前も言っておやり?この氷川ってヤツにさ?

僕には紫月がいるからって。ごめんねって言っておやりよ。

それとも何?まさかお前まで僕たちはお互いに想い合ってるんですーなんて、、、、

ふざけたことは言わねえよなー?」



耳元を掠める言葉が信じられなかった。

何を言われているのかなど解らなかった。

信じられず理解出来ず、呆然とした思いが紅月の頭の中をぐるぐるとまわっては顔面を蒼白にしたまま

硬直しているしか出来得ずに。





紫月は・・・・・知っていたのか・・・・・・・・?

僕と白夜のこと・・・・・・・を?

それに・・・・・・紫月は僕を未だに憎んでいるのだろう・・・・・・・

粟津くんとの仲を裂いてしまったことを・・・・・・

僕のしてきたことを・・・・・

許してなどないんだ・・・・・

ずっと・・・・そんな思いを心にしまってきたというのか?

僕を抱きながら・・・・・ずっと・・・・・・・僕を恨んできたというのか・・・・・





そんな思いに胸が締め付けられ呆然と何をも考えることなど不可能な紅月の様子を紫月は

後ろ側からしっかりと窺っていた。そして極めつけは薬の欲望にも逆らえずにいる彼の胸元の花びらに

伸ばされた指がきゅっとソレを摘み上げた瞬間・・・・



「あっ・・・・・・ぁあんっ・・・・・・・・」



どうにも淫らな声が漏れ出して、白夜はハッと顔を上げ、最悪の事態に紅月は辛そうに顔を歪めた。



「い・・・や・・・・・・・・っ・・・・・お願い・・・・紫月っ・・・・・・・そんな・・・ことしないで・・・・・・」

小声でそう懇願したとて聞えない振りの紫月の指は更に意地悪く肌の上を這い回った。

その度に絶快調の効き目の媚薬が全身に電流のような刺激をもたらす。

どうしようもなく高揚してしまった身体の中心、つまりは性器を握り込まれると更なる残酷な思いが

紅月を押し包んだ。

「やぁ・・・・ぁあああっ・・・・・あ・・んっ・・・・・・あぁんっ・・・・・・嫌・・・・・・・・・

嫌ぁー・・・・・・・っ」

頬は紅潮し瞳は虚ろにとろけ出すのを止められない。

身体中に立ち昇る快感は無情な程で・・・・・・・

「なあ紅、、、、気持ちいいだろ?コレ、、、、ほらココ、、、、、お前のイイところさ?

いっそのこと氷川君にも見せてあげようか?俺に弄られて高まったお前の姿をさ?

はっきり見せておいてあげれば諦めもつくんじゃないの?

ね?そうしよう?ちょっと恥ずかしいかも知れねえけど、、、、今後の為だよ。」

そう言うと更に意地悪く指を動かしては抗えないところまで紅月の欲望を導く。

顔を歪めて唇を噛み締めて必死で耐えれば耐える程湧き上がる欲望はこの上なく残酷なものだった。

そして紫月の手が覆っていた布団をめくり上げ・・・・・・

「ほら氷川君。よく見ておいて?

紅月は俺に弄られるとこんなになっちゃうんだぜ?

これが、、、、答え。紅月が俺を愛してるっていう答え。

だからねえ、、、、悪いんだけど君の気持ちには応えてあげられないそうだよ?」

「嫌っ・・・・・・やめて紫月ーっ・・・・・・・こんなのっ・・・・・・・・

ああっ・・・・・見ないで白夜っ・・・・・・見ないでーーーっ・・・・・・・・・・

嫌ああああーーーーっ・・・・・・・・」

紅月は泣き叫び、だが次の瞬間ふわりと大きな何かが自身を包み込んだような感覚にハッと瞳を見開き、

我に返って・・・・・・

ゆっくりと見上げた先に自分を抱きかかえる白夜の胸の大きさを感じて一瞬気が遠くなるような感覚に

襲われたのだった。ふぅーっと頭の芯から何かが抜けていくような感覚が全身を押し包み・・・・・



「何するんだっ!」



紫月の怒号の声も頭の芯から小さくなって抜けていく。

頭上で争う声と声が交わされ合うのを僅かに感じながら紅月の意識は薄く漂っていた。



「紫月さまっ、、、、もうやめてくださいっ、、、、、

悪いのは私たちですっ、それは重々解っていますから、、、、、

紅月さまがあなたの幸せを裂いてしまったこともっ、、、

私が紅月さまを横取りしてしまったこともっ、、、、、すべて認めています、、、、

あなたに尋常でないご迷惑をかけてしまったことを、、、、本当に申し訳ないと思っています、、、、、

謝っても、、、、誤り足りないことも解っています、、、、、

けれど、、、、、

わかってください紫月さん、、、、、俺は本当に、、、、

心から紅月さまを想っています、、、、、、

必ず、、、、幸せにします、、、、、だから、、、、

どうぞ俺たちのしたことを許してください、、、、

解ってください、、、、、、っ、、、、どうかっ、、、、、」

紅月を守るように抱えながら身を低くそう懇願した。

自分よりも身長の高い頭をこすりつけるように低く低く下げて、その大きな肩までをも震わせていた。

紫月はそんな様子を目の前にしながら、ふいと気の遠くなるのを感じては信じ難いといったように瞳を細めた。