CRIMSON Vol.60 |
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静かに酒のグラスを傾けながら紫月は自室の窓から月光の照らし出す庭園を眺めていた。
その瞳は冷たく凍り、感情は失く、まるで作り物の人形のように僅かに笑みを帯びた唇でグラスの
酒を飲み干すと、コンコンとドアを叩くその音に、うれしそうににやりと微笑んで訪問者を中へと招き入れた。
「紫月・・・・・遅くなってごめんね。レコーディングお疲れさま・・・・・・」
僅かに頬を染めながら恥ずかしそうにそんなふうに言った相手に にっこりと微笑み歩み寄ると、
ふいと両手を広げてその存在を抱き締めた。
「あっ・・・・・紫月っ・・・・・待って・・・・・ねえ、ちょっと話があるんだ・・・・・」
少々焦ったようにそう言って抱き締め掛けられた腕を遠慮がちに押し退けた。そんな様子にも紫月は
ニッコリと微笑んで・・・・・
「あのね、紫月・・・・・聞いて欲しいことがあるんだ・・・・・実は僕・・・・・」
そう言い掛けられた瞬間に紫月はとびきりやさしい声を出すと、話を遮るように胸元へと寄り掛かった。
「紫月っ・・・・・ねえちょっと待って・・・・話をっ・・・・・・」
「話?何の?それより俺やっとレコーディング終ったんだぜ?
長かった、、、、、一週間、、、、、、、お前に逢いたくて気が狂いそうだったよ紅、、、、、、、」
「紫月・・・・・・っ」
「紅、、、、、紅、、、、、なあ紅月ー、、、、、、、お前に逢いたくて、、、、、お前を、、、、
抱きたくて、、、、、どうしようもなかったよー、、、、、早くお前のココに、、、、」
ずるずると押されるようにしながら後退りして、強引にベッドへと押し倒された。
「ね、ねえっ・・・・・待ってっ・・・・紫月っ・・・・・・話を・・・・・・・・・っ」
「そんなの後でいいよっ、、、、、」
とびきり甘く寄り掛かる、、、、、
逸る瞳は求めるように紅月を捉えて放さずに。
「愛してんだぜ紅、、、、お前のこと、、、、こんなに、、、、、、、
離れてた一週間、どんなに辛かったと思う?なあ、、、、お前はどうなの紅?お前も辛かったんだろ?
俺と逢えなくて、、、、、寂しかっただろう?」
「紫月っ・・・・・ねえ・・・・あの・・・・レコーディングはお疲れさま・・・・でも話をっ・・・・・・」
「寂しかったって言えよ、、、紅、、、、、こっちも寂しがってたんじゃねえの?
なあ紅、、、、、もしか自分でヤっちゃったりした?自分でココ弄った、、、、?」
「紫月っ・・・・・・・・」
「俺、弄ったぜ、、、、、事務所の部屋で隠れて、、、、お前のこと想像して、、、、、抜いた、、、、、
お前に挿れることだけ想像して、、、、悶えて、、、、達っちまった、、、何回も、何回もっ、、、、、
愛してるぜ紅ー、、、、お前だけ、、、、こんなに愛してるー、、、、、、」
身体中を弄られ、撒くし上げられたシャツの中に潜り込んだ唇が肌を撫でていく・・・・・・
綻んだ胸元の花びらを濡れた舌先が転がせば、たまらずに紅月の口から悲鳴が零れた。
「嫌っ・・・・・・やめて紫月っ・・・・お願いだから話をっ・・・・・・・!」
ああー・・・・・・・・っ!
紅月を捉えた紫月の力は強く、乳首を舐め回す舌先も、白い肌の上を這い回る指先も、
全身で覆うように圧し掛かられた重さにもすべてが狂ったように求め欲して放さない。
それから何とか上手く荒立てずに逃れようと必死になっても、まるで紅月の意思など聞き入れられる
様子は微塵も無かった。
「やっ・・・・・・やぁー・・・・っ・・・・紫月・・・・・・やめて・・・・・お願い・・・・話を・・・聞いて・・・・・・・・」
「紅、、、紅、、、愛してる、、、、、、、愛してるよっ、、、、、」
言うことがまるですれ違っているのに気付きもしないといった感じで紫月は紅月の身体にのめり込んで
いるようだった。
ついには耐え切れずに身を守るように身体を丸めて涙を流し始めた紅月に、紫月はにやりと微笑むと、
背中から覆うように彼を抱き締めた。
「紅、、、、、もう挿れたい、、、、な、いいだろ?ほら、、、、見て、、、、、俺のペニス、、、、
もうこんな、、、、待てねえって、、、、、だから、、、、、、」
いいだろ−−−−−−−−
しっかりと抱き竦められながら耳元で低い声がそう囁く・・・・・
紫月はわざといやらしい言葉を口にして、興奮したように熱い吐息を紅月の首筋に吹きかけた。
そう、、、、、お前は俺のもんだ紅、、、、
俺のいない間にアノ男と逢引きしてたなんて、、、、、、
お前の様子がおかしかったからずっと悩んでた俺のことなんて気付きもしねえって感じであんな、、、
あんな幸せそうに身を預けやがって、、、、、っ
だったら最初からそうすりゃよかったじゃねえか、、、、、アノ秘書と、、、、
最初からくっついてりゃよかったんだっ、、、
そうしたら俺と帝斗の間も壊れることはなかったっ、、、、、
穏やかで、たまに少し物足りねえって思うときもあるけれど、、、やさしいあいつを俺は愛してたんだ、、、、
一緒にいると安心できて、、、、不安なんか少しも無くて心地好くて、、、、、
セックスだって、、、、恥ずかしそうに頬を染めて俺に寄り添ってるのが可愛くて、、、、
俺は充分幸せだったんだ
帝斗に逢ってお前との昔のこともようやく忘れられて幸せになれると思ってたのにっ、、、、
お前がっ、、、、、
お前が訪ねてなんか来るからっ、、、、、、
俺を取り戻そうと帝斗や倫まで手にかけて、、、、、苦しめたり、、、、
お前の我が侭にはもううんざりだよ紅、、、、、
だから、、、、、
放さない、、、、、、
お前だけを幸せになんかさせないっ、、、、、
ひとりだけ、、、、幸せになるなんて、、、許さない紅月、、、、お前を、、、、
アノ男には渡さないっ、、、、、絶対に、、、、、
許さない−−−−−−−
苦しめよ、紅、、、、
アノ秘書を想って泣けばいいさ
苦しんで苦しんで、、、、いっそ狂うくらい犯してやるよ、、、、、
なあ紅月、、、、、、
だって俺たちはそういう運命なのだから
俺と帝斗の仲を壊したのはお前なのだから
俺の側を離れるなんて許さねえぜ、、、、、許さない、、、、、
絶対に−−−−−−−−
抱き竦められ翻弄されて苦しみに蒼白く歪んだ頬に自分の頬を重ねながら、うれしそうに笑みを
漏らす紫月の舌先が震える首筋を舐め上げた瞬間に、紅月の瞳から大粒の涙が零れては
真っ白な枕に滲んで落ちた。
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