仇になった贈り物 |
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「ねえ・・・・今日はお前と一緒に飲みたいと思ってさ?
コレ持ってきたんだ。見て・・・・ほら、お前の好きなヤツ・・・・・」
色白の指先に引っ掛けるように よく磨かれたワイングラスを2つ。
そしてもう片方の手に2本もワインの瓶を抱えながら紅月はそう言った。
「そんなに、、、飲まれるおつもりですか?2本とも?」
「そう・・・・イケナイ?
これはささやかなお返しのつもりなんだよ?お前がくれたチョコレートケーキへの御礼の気持ちさ。
先月のバレンタインのお返し・・・・・」
「ああ、、、今日はホワイトデーですか?もうそんなに経ちますか、、、
一ヶ月なんて早いものですね。でもわざわざお返しだなんて、、、、恐縮です紅月さま。」
手馴れた仕草で紅月の為に椅子を引きながら秘書の白夜は丁寧に頭を下げて見せた。
そんな様子に紅月はくすりと微笑むと、意味ありげな上目使いでじっと白夜を見つめ返した。
「ふふふふ・・・・実はね、ちゃんとプレゼントも用意してあるんだ。お前の為にとっておきの・・・ね?」
少々得意そうにそんなことを言っている紅月に白夜はふいと首を傾げながら、とりあえずは2本もある
ワインの栓を慣れた手つきで開封すると、コポコポといい香りと共にグラスへとそれを注いだ。
「どうぞ」
つい、と長い指先が卓の上を滑るように差し出され、、、、
「ありがとう」
紅月も又穏やかにそう言うと、くいと差し出されたワインを飲み干した。
「紅月さまっ、、、、そんなに一度にっ、、、、酔いがまわります、、、、」
慌てて怪訝する白夜の言葉に
「いいんだ・・・・今夜は少し酔いたいの・・・・・」
既にまったりととろけかかった瞳をゆっくりと動かしながらそう言った。
「うふふ・・・・・そう、今夜はちょっとね・・・・・酔っ払ってみたいんだ・・・・・
でないと・・・・」
でないと?
「せっかくお前の為に用意したプレゼントが台無しだもの・・・・」
「プレゼントですか?私の為の?」
もともと酒の強い方ではないくせに大きなグラス一杯分のワインを一気飲みしたせいで、少々絡むように
そんなことを言っている紅月に、白夜はふいと瞳を顰めると、2杯目を注ごうとした手をくいと取り上げた。
「何するんだー・・・・」
「紅月さま、、、ピッチが早過ぎます!あまりお強くないのですから、、、もう少しごゆっくりと、、、
それよりよろしければ私に戴けるプレゼントというのを見せてください。」
がっちりとワインの瓶を掴んだ指先を振り解きながら白夜は必死に話をそちらの方へと振った。
「あー・・・・もうー?
えー・・・・・恥ずかしいなあ僕・・・・・もうちょっと飲んでからじゃないとー・・・・・でも・・・
そんなに欲しいんだったら・・・・・」
紅月は多少ろれつのまわらない感じでそんなことを繰り返していたが、
「じゃあ・・・・目ぇ瞑って。あっち向いて・・・・それでー・・・・手ぇ出して!」
「はい、、、分かりました。では、、、、」
やれやれといった感じで白夜は言われるままに目を瞑り、横を向くと両手を紅月の前に差し出した。
「うふふふ・・・・これが・・・・お前へのプレゼントだよ?
まだ・・・・目ぇ開いちゃダメだよ?いいって言うまで・・・・まだだよ・・・・まだ・・・・・」
、、、、、、、、、、、、、、、、、、!!?
「紅月さまっ!!?」
突然に全身を走った衝撃に白夜は慌てて目を開き、
だがときは既に遅く、全身を貫かれるような痺れにがっくりとその場に膝を落とした。
「なっ、、、、何を、、、、っ、、、、、?
何をなされる、、、、、っ」
腹を抱えるように床にうずくまりながら苦しそうに声を絞り出し、白夜はもがいた。
そして霞んでいる目の前に差し出された品物をぼんやりと瞳に映したとき、あまりの驚きに
とっさには言葉さえも出てはこなかった。
「バカなっ、、、、、、何を、、、、、、っ、、、、」
苦しそうにそう問うだけが精一杯で。
まだ身を丸めて床に這いつくばっているその様子に、紅月は僅かにすまなさそうに瞳を細めると、
だが苦しそうな白夜に肩を貸しながらベッドへと導いた。
「ごめんね白夜・・・・・
だってこうでもしないとお前を自由にするのは困難なんだもの・・・・
お前、力強いし、僕より背も高いんだし。苦しい?
でもそんなに強くないからちょっとの間だけ我慢してよね?
その代わり・・・・・
その代わり心を込めてお前にプレゼントを贈るから・・・・・
苦しいのは今だけだよ・・・・・ちょっと我慢すればきっと・・・・・」
紅月はさして感情のないような声で、ダラダラとそんな言葉を並べながら手に持っていた代物を
カタリとベッドサイドへと置いた。
まだ霞む瞳でその手の先を追い掛ける。
そこにはやはり先程虚ろに確認したのと同じものが、今度は少々鮮明に瞳に映り込んで、白夜は
驚愕にほうっと深い溜息をついた。
全身に伝わった激しい振動と、未だに血脈にまで流れているような嫌な痺れ、
その感覚が紅月の手に握られていた磁器によるものだということをはっきりと確認して白夜は
酷い戸惑いの中にいた。
どうして−−−−−
だが虚ろな感覚の中、考えたとて答えなどすぐには浮かぶ筈も無く・・・・・
ただただ疑問と驚愕が交差するだけであった。
だが次の瞬間、もっと驚いたことに紅月にベッドの上に組み敷かれて、白夜は大きく瞳を見開いた。
「なっ、、、、!!?」
真上から自分を見下ろす瞳は僅かに笑みを帯びていて、形のいい口元も緩んでいるように感じられる。
ずっしりと全体重を腹の上に掛けられて、さすがに苦痛の声を漏らした。
「こ、、、、紅月、、さ、、、、まっ、、、、何を、、、、!?」
「ふふ・・・・・随分焦っているね白夜?そんなに僕が怖いかい?」
「どっ、、、、どういう、、、、ことです、、、か、、、、っ」
「どういう・・・・?
だからさっき言ったじゃない?これはプレゼントだって・・・・・いつものお返し。
お前がいつも僕にすることの逆をしてあげようと思ってさ?」
「逆だって?なにっ、、、を、、、、、」
「ふふふふ・・・・・みっともないよ白夜、いつもは散々僕のこと嬲っているのにね?
ちょっと立場が反対になったらそんなにオロオロするなんてさ?もっと男らしいと思ってたのにぃ〜。
今日はね、思う存分心を込めてお返しをさせてもらうよ?
クリスマスのときとか・・・・・この前のバレンタインのときだって・・・・・
お前はケーキの他に素敵なプレゼントをくれたじゃない?だから・・・・・そのお返しさ。
たまには僕だって何かプレゼントしなきゃ悪いだろう?いつも貰ってばっかりじゃ社長として
名折れだからね〜?今日はいつもの分もひっくるめてサービスさせてもらうよ?」
「っ、、、、サービスって、、、、、、一体っ、、、、!?」
「そんなの・・・・・わかってるくせに・・・・・」
そう言うと共に紅月は白夜の身体の上にぴったりと重なるかのように覆い被さって、ふいと顔を近付けた。
そうして頬を撫で、髪を掻き揚げて、ねっとりとまるで憎しみを込めるかのように顔、頭と撫で回した。
「なんて顔してるんだ白夜?お前にそんな顔は似合わないよ?」
そうしてうれしそうに微笑むと這わせていた指先で唇を割り込むように強くこじ開けた。
「キスしてやるよ白夜・・・・・お前好きだろう?
いつもこうして僕の唇を無理矢理こじ開けてくれるもんなー・・・・・?
嫌だって言ってるのに・・・・・お前は全然やめてくれない・・・・・もっと酷いことするだろ?
こんなふうにさ・・・・・・?」
「ぐっ、、、、、はっ、、、、、!」
紅月は割り込ませていた指先で思い切り白夜の舌を掴み上げた。
ゲホゲホと苦しそうに咳き込みながら白夜はそれから逃れようと必死に首を左右に振り回し、だが意外にも
紅月の力は強くて簡単には逃れることは儘ならなかった。それどころか次の瞬間には胸元の突起をくるりと
撫でられて、衝撃に身体中の痺れが激震するような感覚に陥った。
「うわっ、、、、、、!」
思わず叫び声が漏れ出し、首筋の筋肉が硬直し、開いた瞳も閉じられなくなる程驚いて。
「あははは・・・・白夜!そんなでっかく目ぇ開いちゃってー・・・・お前らしくないなあ〜?
それともよっぽど気持ちいいとか?」
高らかな笑い声と共に紅月はそう言うと、今度はシャツの上からその突起を軽く噛んで見せた。
「紅っ、、月、、、、さまっ!」
反射神経が勝手に身を捩ろうとしても全身を伝う痺れが思うようにはさせてくれず、白夜はただただ
戸惑いに瞳を見開いているしかなかった。抵抗出来ず、動くことも儘ならず、好きなように弄られて・・・・・
紅月はそんな様子にうれしそうに瞳を細めながらシャツの上から舌を這わすと、しつこいくらいに
白夜の乳首を舐め回した。唾液でシャツが濡れる程、しつこくしつこく噛む舐めるを繰り返しては
時折ちらりと表情を覗き込まれて驚愕に言葉さえも見つからなかった。
そして極めつけは美しい唇から漏れ出す残酷な言葉に白夜はくいと瞳を顰めると、まるで覚悟を
決めるかのように静かに溜息をついた。
「白夜・・・・ほらココ・・・・立ってきた・・・・乳首。こんなに・・・・コリコリだよ〜?
お前でもこうされれば感じるんだ?もしかして下も勃ってたりして?」
そう言うとくいと手を腹の下に持っていかれてズボンの上から身体の中心を確かめるように撫でられた。
「ああーっ・・・・ホントに勃ってるー・・・・見ろよ白夜!勃起してる〜。」
うれしそうにはしゃぐように声を弾ませながら、だが次の瞬間にはぞっとする程の笑みと共に
褐色の瞳に食い入るように捉えられて、白夜はビクリと肩を震わせた。
「ココも舐めてやろっか?お前のペニス・・・・さ?
いつも我が物顔で僕をいたぶるお前の分身・・・・・・
たまにはいたぶられる側に回るっていうのも必要じゃない?そうすれば解ると思うんだー・・・・
いつも僕がどんな思いでいるかってことがさ?
無理矢理引き剥がされて恥ずかしいことさせられる・・・・僕の気持ちがさ?
ねえ白夜〜・・・・・・?お前だって男だもの・・・・こんなことされればうれしいだろう?」
「あっ、、、、、、は、、、っ、、、、紅月っ、、、、、よせ、、、、っ」
「くっ・・・・ふふふふ・・・・何焦ってんだ、ばーか・・・・・
白夜ー、気持ちいいんだ?ほらぁ・・・・何か漏れてるよ〜・・・・?ココからさ・・・・
お前の蜜・・・・・先っぽもこんなにぱんぱんに腫らせちゃって・・・・いやらしいー・・・・・
いつも僕のことヘンタイヘンタイて言うくせにさ?お前だって変わんないじゃん?
こんなにおっ勃てちゃってさあ〜?ヘ・ン・タ・イ!」
「くっ、、、、、、なっ、、、にを、、、、」
「あははは・・・・悔しいか白夜?でももう持たないだろ?
一度見てみたいって思ってたんだ・・・・お前がイっちゃうとこ!
ふふ・・・・正しくはイカされちゃうとこって言った方がいいかな?とにかく僕にそーゆートコを
見られちゃうって恥ずかしいだろ?
だから・・・さ?一度お前にその恥ずかしい思いっていうのをさせてみたくって。」
紅月は調子付き、とびきりうれしそうに微笑みながら得意気に瞳を閉じると、
しばらくはそんな優越感に浸っていた。
そそり立った白夜のペニスを弄ぶようにゆっくりと、そして激しく上下して。
罵倒の言葉もおもしろいように飛び出した。
けれどもほんの僅かの沈黙の瞬間の後、突然に目の前が回転するような目眩に襲われてハッと瞳を
見開けば、信じられないことに状態が逆転し、今度は自分が白夜に組み敷かれている事実に驚愕を通り越し、
蒼白となった。
「なっ・・・・・白夜っ・・・・・・!!?」
どうしてこんなっ・・・・・・
「何するんだっ!?お前・・・・身体は・・・・・・・」
驚愕に揺れる褐色の瞳を痛いくらいに見つめられながら紅月は心のままを口にした。
「痺れはっ!?もう・・・・効果が消えてしまったなんてっ・・・・・・そんなこと在り得ないっ・・・・・・」
だが白夜は半ば苦しそうにしながらも僅かに笑みを伴いながら、とぎれとぎれに言葉を放った。
「ふっ、、、参ったな、、、紅月さま、、、、あなたがこんなこと、、、するなんて、、、」
「放せバカッ・・・・・・何で急にーっ・・・・・」
「はっ、、、、ははは、、、、スタンガンの効き目なんて、、、そう長くは、、、、持ちませんよ、、、
俺は鍛えてるし、、、、でなければあなたを守る役は務まらないし?」
白夜はまだ少し吐息を荒く乱しながらも、だが力だけは通常というくらいがっしりと押さえつけられてしまった
両腕は動かそうにもビクともしなかった。
紅月は蒼白となって・・・・・・
「くっ、、、ふふふふ、、、、紅月さま、あなたにしちゃよく考えた、、、、と褒めて差し上げてもいい、、、
でも所詮は浅知恵でしたな?俺を嬲ろうなんて10年早いぜ。
そんなことよりも、、、、本当はいつもみたいにこうして嬲られたかったんじゃないか?
俺に犯して欲しくてわざと、、、、違う?」
「ばっ、馬鹿を言うなっ・・・・・何で僕がっ・・・・・・」
「そう?でも、、、、、、
もうしっかり勃ってるぜ?」
「やっ・・・・・・・・」
「ほらー、、、、こっちも尖っちゃって、、、、ホント感じやすいっていうか、ひょっとしてあんたM?
こんなことされると一等反応じちゃうんだろ?何か酷い抱かれ方っていうの?強姦とか、、、
されてえんだろ?
え?どうなんだよ?言ってみろよ紅月、、、、美しい社長さまー!」
「やっ・・・・やめろっ・・・・・・放せよっ・・・・・・・・・・」
「うるせー、、、、」
「やっ・・・だ・・・・・嫌っ・・・嫌っ・・・・・・・白夜っ・・・・あ・・・・」
ああああーっ・・・・・・・・
「やめてっ・・・・やめて白夜っ・・・・・ああっ・・・・・いやぁ・・・・・・・」
「はっ、、、、たまんねー、、、やっぱあんたって犯られてるときの方が断然いい表情するよなー?
はまり役ってーの?生き生きしてるぜ?」
「バカッー・・・・・放せよっ・・・・・本当にっ・・・・・ああっ・・・嫌ぁー・・・・・・・っ」
「悪かったよ紅月ー、、、、あんた俺に犯されたくって仕方なかったんだな?
こんなふうにさ?激しくされるとたまんねえんだろ?もしか抱いてやってない間独りで抜いてたとか?
ふふふふ、、、、そいつぁ気が利かなくて申し訳なかったぜ社長さまー。
わざわざこんなことしなくてもひと言素直にそう言ってくれれば、、、、すぐにも犯して差し上げたのにー。」
「違う・・・・っ・・・・そんな・・・・こ・・と・・・・・・」
ああ・・・・っ・・・・
「や・・・めて・・・・白・・・・・・・白夜っ・・・・・あんっ・・・・・あっ・・・・・んっ・・・・・」
僅かの間にして荒く乱れる吐息は正に白夜が言うように激しく弄ばれたかったといっているに他ならず、
突如として全身を包み込んだ欲望の感覚に、紅月はまるでそれらに流されたいというふうに瞳を顰めた。
「あ・・・・あっ・・・・・ふ・・・・・・嫌・・・・いやぁ・・・・・白・・夜・・・・・ー・・・っ・・・・・」
「ふふ、ヘンタイー。嫌〜とか言いながらされるのって最高だろ?
ホントはそういうときが一番感じるんだよなー?自分のせいじゃない、って安心感があるときってさ?
なら、もっとご期待に添わせてやらなきゃいけねーなあ?」
「あん・・・・・・違う・・・・・ほんとに・・・・嫌・・・・・・・だから・・・・っ」
「どこがー?
こんなに全身で俺を求めてて?見ろよ、この肌!腰つきだっていやらしくくねらせやがって。
あんた今最高に至福って顔してるぜ?それを証拠に、、、、、ほら、、、、ココ。」
「あっ・・・・ああーっ・・・・だめっ・・・だめ白夜っ・・・・・ー、まだっ・・・・・・」
「まだ?何だよー?」
「まだ・・・・・・・イキたくない・・・・・っ・・・・・もう少しっ・・・・・・」
「もう少し?」
「あ・・・・・・・・・・・は・・・・・もう・・・少しだけ・・・・・・・・」
感じていたいー・・・・・・・・・・!
聞き取れるか取れないかのような儚い声がそう漏れた瞬間に、白夜は美しい切れ長の瞳を
うれしそうにくいと細めると、
「あはは、、、、この淫乱野郎っ、あんたの頭の中にはそれしかねえーのかよ?
はっ、、、、気の毒に。毎晩こんなことばっかり妄想しながら寂しい思いしてたってわけか?
俺に犯されることだけを考えて、望んで、悶々として?
可哀そうになあ〜紅月。じゃあその分今日はとびきり上等に愛してやるよ!
ん?激しく強く濃厚にさ?お前を、、、、、めちゃめちゃにしてやるよ、、、、、!」
「やぁ・・・・・・ー・・・・・・・・・・・」
白夜の長い指先が胸元の突起をくりくりと撫でながら、背筋にはすうーっと一筋の線を描くように上下され、
首筋に熱い吐息をかけられて、鎖骨を舐められ、耳たぶを噛まれて突付かれて、、、、、
ほんの遊び心で始まったままごとのような祝宴は、宵が深くなるにつれ背徳へと姿を変えて−−−−−
些細な悪戯は最早引き返せない程淫らな仇となって紅月を押し包んで止まなかった。
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FIN |
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