蒼の国-恋と愛-
公瑾はとてもやさしく俺を抱く。そう、とてもやさしく やわらかく ふんわりと。

孫策とは全然違う。孫策は、そう、もっと激しくてもっと切なくてもっと苦しいくらいに熱くって。

辛くなるくらいに俺を抱き締めた。

でも公瑾は違う。いつも静かで穏やかで心地よくて、なんだか眠たくなってしまって。

気が付くといつも眠ってしまっている。側にいるだけで安心するような感じがして。



「ねえ、公瑾は俺を愛してる?」

倫周は肘を付きながらそう尋ねた。

「むろん!」

そう答えが返ってきたけれど。

「でも、孫策とは違うな、、孫策はもっと、何ていうか、もっと激しかった。」

そう言うと周瑜はくすくすと可笑しそうに微笑った。

「それはそうだ、だって人が違うんだから愛し方だって違うさ。お前は、もっと激しくして欲しい?」

にやり、とすると倫周をくすぐりだした。

きゃははは・・やだ 公瑾ったらぁ・・・・・



「ねえ、公瑾はさ、何で俺を受け止めてくれたの?」

今度は空を漂うような瞳をしながら静かに尋ねた。

何でって、、、

答えに困る周瑜を見て、倫周は一番不思議だった事を訊いた。

「公瑾は俺のことをすごく好き、で愛してくれてるんじゃないよな・・・いや、好きは好きでもこう、

何か違うんだ。すごく恋しくて誰にも渡したくなくて、っていう感じじゃなくて、もっと穏やかな感じの。

俺、公瑾といると安心するんだ。なんか居心地がいいっていうの?だからすぐ眠くなる。

ねえ 公瑾はさ、すごく好きな人とかいないの? もう誰にも渡したくないっていう位の。」

そんなことを真剣に訊いてくる、すぐ側の存在がとっても愛しくて周瑜は瞳を細めると



「お前。 私の”誰にも渡したくない人”はお前だよ。 伯符とは違ってもね、

私はお前をちゃんと愛してるよ。」

そう言いながらくすくすと笑っている。

「変な事を訊く子だな、じゃあお前はどうなんだ?お前は私を愛しているのか?」

そう言うと倫周の首に手を廻してそっとその身体を倒した。

そのまま首筋に軽く唇が触れられて。 びくん、と倫周の身体が反応した。

「どうされたい?言ってみろ。今日はお前の望む通りにしてやるから、ほら、、、」

そう言われただけで身体が熱くなる。だんだん気が遠くなるようで。



やわらかく、まるで羽に包まれるように愛してくれる、俺は又眠くなって、心地よすぎて、安心して・・・







周瑜は自分の腕の中で安心し切ったように眠る倫周を眺めていた。

倫周、お前の言うとおりだな。私はお前を愛している、けれどこれは恋ではないんだ。

何かもっと違うもの、、そう、どうしても放って置けなかったんだ。

伯符を亡くした時のお前の姿が、自分の姿に重なって。伯符なしで生きていくなんて考えられなくて。

考えた事もなくて。まるで自分の体の一部が無くなってしまったようで。

そんな自分の心がお前の姿と重なって。あれほどまでに伯符が愛したお前を放って置けなくて。

なあ、倫周。伯符は私にとってもとても大切な人だったんだ。お前とはその形が違うだけで

大切さは一緒だ。私は伯符と身体を重ねた事はなかったけれど心はいつも重なっていた。

こうしてお前をこの手に抱いているとお前を通して伯符と、心も身体もひとつになれたような気がするのだ。

お前はまるで自分であるかのように愛しくて。だから受け止めた。

倫周、お前は気付いてないかも知れないが、私もお前に受け止められたのだよ。



お前を愛することで伯符とひとつになれたのだから。