蒼の国-RXR(遼二と倫周)- |
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次の朝、いつもと同じように皆が食堂に集まって来ていた。
安曇は眠れない一夜を過ごしてまだぼうっとした意識の中、食堂に続く階段を重い足取りで降りていた。
階段の途中でビルや京のいつもの声が聴こえてくる。遠く、瞳をやればあの人も居間のソファーに
くつろいでいた。
「よおっ、早いな!どうよ、調子は?」
いつもの明るい遼二の声が耳に飛び込んできて、、、
「おはようございます。」
端整なその声で安曇はびくっと肩を震わせた。
遼二と倫周の横を通り抜けるその声に。
すっ、、、と倫周の細い指がその腕をつかんだ。
彼は立ち止まると落ち着いて握られた 冷たく細い指をつかむと、そっと下に離した。
「だめですよ、今日はちゃんと居るでしょう?」
そう言いながらすぐ側にいた遼二を振り返ると軽く微笑んだ。
「何だよ?潤ちゃん、意味ありげ、、、って、おい、、」
それ以上は何も言わずに潤は すっとその場を後にした。
遼二は考え事をしていたが、ふっと倫周の方を向くとぐいと近寄り軽くそのあごを持ち上げた。
「何した、、、?おまえ、昨日、潤に何かしたろ?」
そう言いながら倫周の身体に覆いかぶさるようににじり寄った。
別に、、、
表情ひとつ変えずにそう言って瞳を閉じる倫周に遼二はぐいとその身体を引き倒した。
「悪い事、したんだろ?」 こんなふうに、、、
いきなり胸元をこじ開けて露になった白い肌を弄った。
「ばっ、、やめろって、お前っ、、ここ、どこだと思ってやがる、、、!?」
倫周は慌てるけれど。
「悪い事、した罰」
ひとこと、そう言われ、遼二は手を止めてはくれない。
や、やだ、、、
とたんにぞわぞわとした感覚に囚われて、倫周はたまらずに身体を捻った。
「や、めてよ、、、ぁあっ、、、遼二っ、、、!」
「そんなに暴れて、、、おまえ、ここから見えたらばれるぜ。」
狭いソファーの背もたれに隠れながら遼二はもっと意地悪く指を動かした。
、、、い、、いや、、遼、、りょ、、、っ、、、、
たまらない、、!そんなこと、しないで、、、
「あ、あぁ、、」
耐え切れずに小さな声が漏れる、その声を塞ぐように遼二の唇が重ねられて。
倫周は朝の光りの中で意識を掻き乱されながら頭上に遼二の意地悪な声を聞いた。
「今日は覚悟しとけよ!悪い事した罰だ、なっ!」
そう言って楽しそうに微笑んで倫周を見下ろした。
夜がきて・・・
倫周が連れて行かれたのはシュミレーションルームの前だった。
「おい、、、こんな所、、来て、どうするつもりだ、、、」
不安そうな倫周に遼二はにっこりと笑って 「いいところ、、、!」 とだけ言った。
着いた所は、、、?
「なんだ、ここ、、、」
倫周はきょろきょろと周りを見上げながらくっと繭を顰めた。
見るからに汚いどやがい、といった感じの古いビルが立ち並ぶ狭い路地に壊れた水道管から
水が漏れて、あちらこちらに錆びた鉄のようなものが転がっている。
「おい遼二!何だ此処は、、!?」
少々怒ったように倫周が訊くと前を歩いている遼二がいきなり立ち止まった。
にやり、としながら振り返るとひとこと 「路地裏」 とだけ言った。
そんな事はわかってる!こんなとこ来てどうするんだって言ってんだよっ!
そう怒鳴ると、いきなり遼二にその腕をつかみあげられた。
「痛っ、、!何をっ、、、」
倫周の瞳が遼二を睨みつけたが。遼二はまだ、にやりと薄ら笑いを浮かべていた。
昨日、、、
「昨日の罰だって、言ったよな。罰を与えるにはこういう所がお似合いだろ?」
ゆっくりとにじり寄られて、思わずあとずさりするような形で倫周は煉瓦の壁に押し付けられた。
「なっ、、いい加減にしろっ!なんで俺がっ、罰ってなんだよっ!?」
かなり不快そうに倫周は怒鳴った。
怒鳴ったけれど、、、
遼二はふい、と冷めた視線で倫周を見下ろしながら強い力でその細い肩をつかんだ。
ねっとりとした感じで手のひらが白い胸元に割り込んできて、、、
「りょ、、遼二、、、?」
少し冷めた視線に見下ろされて倫周の大きな瞳は不安の色に曇りながらきょろきょろとその冷たい
表情を窺っているようだった。
「潤に、、、何した?昨日、あいつと何かあったんだろ、、?」
そう言ったと同時に胸元の薄桃色の花びらをきゅっと摘まれた。
「、、っや、、っ、、、、」
倫周は思わずぎゅっと瞼を瞑ると両手で遼二を突き放した。
「やめてっ、遼っ、、、」
ゆっくりと再び遼二はにじり寄って倫周の両腕を捕ると煉瓦の壁に押し付けて自由を奪った。
「ちゃんと、言えよ。ほんとのこと、言え、、、」
低い声で、冷たい瞳でそう囁かれて。
「だっ、だって、遼がいけないんだっ!遼が居ないからっ、、」
そう言ってしまってから倫周は、はっとした。その表情に満足したかのように遼二の瞳がにやりと光った。
「もう遅い、白状したもんなあ、」
「ち、違っ、、、」
「何が違うんだ?」
にやにやとうれしそうに笑うと遼二はぐいっと倫周の身体を引き上げてその首筋に顔を押し当てた。
「おまえが、いけない、だろ、、、?」
耳元ぎりぎりに低い声でそう囁かれて倫周は気が遠くなりそうだった。
蛇に睨まれた蛙のように何も言えず、身動きも出来ないまま身体中を遼二に弄られて喉がからからに
なっていくようだった。
「や、、や、、めて、、、遼二、、、りょう、、、」
全身を這うような快楽の感覚にいつものように遼二を求めたくても、今は勝手が違っていて。
冷ややかな視線が溢れ出す欲望を脅迫してくるようで、それでも深い悦びの感覚は抑え切れなくて。
次第にそれは狂気のような世界を作り出し、、、
倫周はもう立っていることもできずにずるずると煉瓦の壁に崩れ落ちてしまった。
遼二は崩れ落ちるその身体を引き上げると側にあった廃材の上に座らせた。
半ば意識の遠くなっている、震えるその身体を開いて衣服を剥ぎ取るとぐい、と脚を持ち上げた。
、、、やっ、、、!
はっと我に返ったけれど、もう遅く身体はがっちりと遼二に押さえつけられて身動きできない。
「遼・・ごめん・・遼二・・俺が悪かった、から・・謝るから、許して・・・」
倫周にはもう言葉を発するしか術がなく、一生懸命そう言ったけれど遼二は意地悪そうに笑うだけで
追い詰めるように見つめてくる。全身を這い回っていた形のいい指が意思をもって伸ばされたとき、
温かく大きな手のひらでぎゅっと握られた。
「遼っ、、、い、や、、そんな、、こと、、、」
緩やかに、うねるように、花びらを一枚一枚もぎ取るように、愛撫されて。ぐちゃぐちゃに意識を
掻き乱されて、、、
遼二の力が一瞬、緩む。触れては緩み、また触れては緩ませる、そんなことを繰り返されて
倫周は気が違いそうになった。耐え切れずに懇願の言葉が漏れて。。
「りょ、遼、お願い・・ねぇ・・遼・・もぅ・・・」
・・・・・・・・・・・・
「ねえ、遼・・・お願い・・だから・・ぁあっ・・・」
何度頼んでも遼二は同じことを繰り返すのみで、一向に望みが叶えられない様子に
たまらずに倫周は叫んだ。
「遼二・・・!お、願い!いかせてっ・・・・!」
そう言った途端、、、
突然、遼二の身体が離れた。
すっと、後ろに身を引いて意地悪な瞳がこちらを見ている。
にやりと微笑むと遼二は平然とした顔で言った。
「そんなにいきたいのなら自分ですれば?」
・・・どっ・・どうして・・
信じられない言葉を平然と言われて倫周は頭の中が白くなった。
なんで・・なんで?・・ここまでされて、こんなにされて、どうしてそんな酷いこと言うの・・・?
考えても倫周には何も思い浮かばない。
身体が、辛い・・・熱い・・助けて、誰・・・か
気の遠くなりそうな中、倫周の手は無意識にそこへ向かって。
自分じゃないみたいだ、身体が分離して、ああ、もう何が何だかわからない・・・!
「う・・っ・・・んっ・・・ああ・・っ・・・」
天を仰ぎながら迫り来る至福の瞬間にくっと、瞳を歪ませた頃、、、
突然に強い力で身体をつかまれてはっと我に返ると、、、
すぐそこに遼二の顔があって。にやにやと笑っている。遼二は倫周の頬を撫でると耳元で囁いた。
「いまのお前、すっごく綺麗だったぜ、すっごく、いやらしくて、、、」
倫周は背筋がぞわぞわと寒くなった。
恥ずかしくて火を噴きそうだ・・・いやだ、こんなの・・・・!
遼二は倫周の身体を抱き寄せると、一番欲しがっていたものを与えてやった。
ほんの一瞬で、倫周は意識を手放した。 |
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