蒼の国回想編-Dead or Alive Recollection/LOVER-
それからは眠りにつく前には必ずキスを交わし、ぎゅうっと腕に倫周を抱き締めながら寝た。

いつしか次第にそんな行為は当たり前のようになっていき・・・

何事にも純粋で順応性の高い倫周の感性は教えられることを素直に受け入れてゆき、それらが

究極を極める頃には当然の如く”おやすみのキス”だけで終わるはずはなかった。

麗は純粋無垢な倫周の素直さに溺れていった。こうだよ、と教えれば何の疑いもないままに

素直にそれを受け入れる、そんな倫周の存在は次第に麗の理想を体現させるこの上ないものとして

君臨することとなった。

僚一に対する苦しい恋の気持ちを、すっかり冷え切ってしまった美枝との関係を、常に死と背中合わせの

危険な仕事に追われる毎日を、押し流しては自分の理想で埋めるかのように麗は幼い倫周に溺れていった。

不幸なことにそれは倫周にとっても同じことで。

毎夜の如くもたらされる愛欲に満ちたその行為に始めは特に感情のないまま、促されるがままに過ごしていた

その時間が、次第に甘い快楽の渦となって自身を包み込むようになってしまったとき、麗と倫周はもう

なにものにも抗えない運命の渦の中に巻き込まれてしまっていたのだった。



或る日美枝が外出中の僅かな時間に麗がもたらした運命の渦。

愛欲という至福の快楽の始まりは幼い倫周にとっては残酷極まりないものだった。

それまで倫周の身体中にキスをして愛撫をするという行為を繰り返してきた麗は最後の砦を

打ち破るべく至福への永き道の前の封印を解き放ち、倫周を導き入れてしまった。

それは想像を絶する程に残酷で。

「嫌っ、、、やだっ、、パパ、、、痛いっ、、痛いよぉっ、、、嫌だぁっ、、、

放してっ、、、やめてっ、、、嫌、、、嫌ああああぁっ・・・・・・・・」

狭い部屋に絶叫が掠れて出なくなるまで初めてのその儀式は続けられた。

麗は泣き叫ぶ倫周の身体を拘束し、その胸を痛めながらも儀式をやめることはしなかった。

「倫くん、我慢しなさい・・今だけ・・・今だけだから・・・辛いのは、苦しいのは今だけだよ?

これを我慢すればすごくいいことが待っているんだ。それはもう倫くんが考えられないような

すごく気持ちのいいことなんだよ。パパがついてるからずっと倫くんの側にいてあげるから、

絶対ひとりになんてしないから・・・だから我慢しなさい、今だけ・・・今だけ・・・・」

「やだぁ、、いやぁ、、、痛いよぉ、、怖いよぉ、、、、パパ、、パパぁ、、、、」

「大丈夫、すぐ楽になるからね?痛いのはパパも同じなんだから・・・倫くんが痛いのと同じくらい

パパも痛いんだよ?だから、一緒に我慢しような?倫くんとパパだったら何でも出来る、そうだろう?」

あ・・・あぁっ・・・・パ・・パ・・・・・

そうして倫周にとって地獄のようなその儀式は美枝が帰宅する少し前に終わりを告げた。

「ね、倫くん。このことは絶対内緒だよ?誰にも言っちゃいけないよ。お友達の遼二くんにも

学校の先生にも、誰にも。パパと倫くんの2人だけの秘密だ。もちろんママにも絶対に秘密。

2人だけの約束だよ、いいね?」

「ママにも言っちゃいけないの・・?パパと倫くんだけの・・秘密・・・?」

ぐすんぐすんと泣きじゃくりながらもそんなふうに倫周は尋ねた。

「そうだよ、パパと倫くんだけの秘密さ。」

「じゃあ秘密が2つになっちゃうね?」

「え?」

「だって・・・前に倫くんがおしっこ、しちゃったことも秘密だもんね?」

・・・・・・・

「あははっ、、、そうだったね。その通りだ。じゃあこの2つの秘密はこれからもパパと倫くんだけの

ものにしような。絶対に約束だよ?」

「うん、、、パパも言っちゃだめだよ、倫くんがおしっこしちゃったコト、、、」

「うんうん言わない、絶対に秘密・・・!」

あはは・・・・

「好きだよ倫くん・・パパは倫くんだけ・・・倫くんがいちばん好き。倫くんはパパにとって

この世でいちばん大切なものなんだ・・・・」

「ホント・・?倫くんも好き・・・パパのこと大好きっ・・」

倫・・・・・・・・!



決して触れてはいけない封印を解いてしまったしまったこの日から麗と倫周は共に至福の中へと

堕ちていった。それは快楽という名の至福。

麗は僚一への苦しい想いを埋めるかのように倫周にのめり込んでいった。幼い故に吸収の早い倫周の

柔軟な精神はそんな麗の期待に応えるのに充分過ぎる程だった。

夜毎に繰り返される甘く自堕落な欲望の日々は次第に倫周の身体と心までをも虜にし、

彼が7歳になる頃にはもう立派な麗の恋の相手として君臨するようになっていた。

麗自身にとっても既に倫周は我が子ではなくなっていて。

我が愛しき恋人・・・

そう、麗にとって倫周はこの世でたったひとりの恋の相手。

それは僚一と溺れたNYでの熱き日々をも塗り替える程の刺激的な恋だった。