秋の夜の過ち-攻X攻君たちの災難な宵- |
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酔った拍子にとか若気の至りだとか、そんな例えは所詮ありがちな他人事だと思っていた・・・
まさか自分らがそんなことに陥っちまうなんて思わねえだろフツウ、、、
って・・・今更遅えけど・・・
俺たちこれからどうなっちまうのよ、、、
なんて悩んだところで後悔先に立たずだぜ!
なんでこんなことになっちまったのか?
そもそもあんな飲み会があったせいで・・・なんて恨めしがっても虚しいだけよね、、、
○・・・・・・・・・・○・・・・・・・・・・○・・・・・・・・・・○・・・・・・・・・・○・・・・・・・・・・○・・・・・・・・・・○・・・・・・・・・・○
それはとある秋の晩のことだった。
たまには風流な行事も悪くない、などと言って喫茶室のオーナーである帝斗が催した
夜空の下での飲み会の後のことである。
中秋の月を愛でながらとか何とかで和風庭園なんぞを借り切っての久し振りの豪華な飲み会の雰囲気に
呑まれた、なんていうのは只の言い訳に過ぎないだろうか?
既に陽が高く上がったマンションの一室で、遮光カーテンから漏れてくる陽射しに二日酔いの頭を抱えながら、
永年の親友同士だったウェイターの白夜と遼二は無言で背中合わせに横たわっていた。
やっちまった・・・・
とっくに目は覚めていた。
多分、今自分と背中合わせに寝ている親友も既に目覚めているのだろうということが薄々分っているものの、
どちらからも声を掛け合えなかったのは、想像もし得なかった禁断の壁をぶち破ってしまったから・・・
記憶を辿れば二日酔いの頭がズキーンと響いては痛んだ。
学生時代からの先輩後輩で、社会に出てからは親友で、挙句こうして同じ職場にまで勤めていて。
結構固い信頼と友情で結ばれていたはずの2人の間に突然降って湧いたような信じ難い出来事に、
背を向け合ったまま寝返りのひとつも打てずに朦朧と午後の陽射しの暖かさが無情にも感じられて・・・
2人は互いに身動きの儘ならないままに、頭の中で同じことを追いかけながらぼうっとしていた。
そう・・・
それはほんの数時間前の出来事。
飲み会の後、この部屋に帰って来てからの・・・出来事だ。
「ふはは、、、なあ〜んかすげえいいキ・ブ・ン〜!ふわふわってーの?天国にいるみてえだぜ〜、、、」
「あー・・・マジ・・・?オレもー・・・おわー、天井回ってやがる・・・ほら白夜ちゃーん・・・・!」
「バッカ、、、!危ねーよ、、、、お前、足もつれてんぜ?飲み過ぎだってよ遼二ー、、、、!」
「うっせーバカ・・・てめーだって顔真っ赤だぜー・・・酔っ払いオヤジみてー。かははははっ・・・・!」
「オヤジとは何だよー、、、そーゆーお前もお目々真っ赤だぜぇー?
あー、、、ちょっと潤んじゃって可愛いのなー遼ちゃん!」
「うるへー・・・誰が”ちゃん”だ!誰がー・・・・・」
「うあーーーー、、、、!」
互いにろれつの回らないまま肩を組み合って部屋の鍵を開けて、電気もつけないまんま上がり込んで
ソファにダイブして・・・
それからどうしたっけ?
顔が赤いとか酔っ払いオヤジとか、そんなことを言い合ったような、ないような、、、
気がついたらアイツの頬がすぐ側にあって、それは視界にもハッキリとは映らない程近くて・・・
やわらかくて熱くて気持ちいいその感覚が重なり合った唇の感触だったなんて、
それだけでやめとけばよかったけど。
「ふ・・・っん、さすがは遊び人ってか?すげえテク・・・・」
「はっ、、、何?褒めてくれてんのー遼ちゃんー?」
「うるせー、別に褒めてんじゃねって・・・・」
「あー?じゃあ何だよ、、、?あー分ったー、もっとして欲しいとかー?」
「う〜〜〜ん、そうね〜〜〜、もっとしてよぉ〜・・・白夜ちゃ〜ん・・・・」
くったりと体重を預けた感覚が妙に気持ちよくってそんなことを言ったような言わないような・・・・
じゃれ半分で、
キスのテクなんか競っちゃうよ?なんてなつもりで、
それだけのはずで。
頭では分ってたんだ・・・・これは只のおふざけに過ぎねえって。
けど気づいたときには身体がイウコトきかなくなってて、、、
俺たちは興味本位でそのままやってはならないことにトライしちまった・・・・!
「な、、、遼二ー、、、ちょっとさ、してみねえ?」
「あ?するって・・・何・・・を・・・?」
「ん、、、、だからさ、、、コレ、、、、」
暗闇の中、とろける視線が迫ってきたのまでは覚えてる
いつもは鋭いくらいの白夜の切れ長の瞳が少し丸く見えて それはちょっとばっかし潤んでもいて・・・
偶然重なり合った身体の中心が互いに硬く熱を持っていたのも薄っすらと覚えてる
アレとアレが重なって、ぶつかって、その瞬間互いにビクリと肩が震えたのも・・・・
気がついたときは信じられねえことに白夜の背中に手を回してたり・・・
だって背中がゾワゾワうずいてどうしようもなくって、こんな感覚初めてで気持ちよすぎてもっと知りたく
なっちゃって・・・
分身はこれ以上ねえってくらいビンビンだったし早くソレ弄りてえとか思ったり。
そんな欲望がダイレクトに伝わったかのようにアイツの舌が肌を掠めりゃ頭の中はもう天国だぜ・・・
ああサイテー・・・・・
「んっあッ・・・・・・!バカッ・・・・そんなとこ・・・・触んなって・・・・!クソ白夜ー・・・・っ!」
「だって気持ちよさそうだぜ?ほら、、、遼二ー、、、お前のチクビ、、、もう勃ってるしー、、、?」
「あッ・・・・!うわっ・・・・・何すんだって、てめえ・・・白夜ーっ!」
あっ・・・・・・・・あーっ・・・・・・・・!
抵抗の言葉を発しながらも少し竦めた肩先が震えてて、、、ふと視線をやれば艶めかしく瞳を瞑っちゃってる
コイツが妙に可愛いなんて思えたりして、、、
それって何だか今まで知らなかった一面を見たような気がして、、、
オレの舌先で転がされてツンツンに尖らせた胸の飾りを隠そうと肩を竦めてんのかな?なんて思ったら
急に激しい感情が頭の中で爆発しそうになった、、、、
「はっ、、、案外可愛い声出すのな?ココ、、、気持ちいいか、、、?」
「うっせ・・・バカッ・・・・・誰が気持ちいいだなんてっ・・・・・ヒァッ・・・・・バカッ、よせって!白夜ー・・・・・!」
「やだ、、、よさない。だってもうほら、、、オレも、、、限界みてえだしー、、、ほら、、、遼二ー、、、」
熱い吐息が頬を撫でるたびにほんのりと酒の匂いが脳内をくすぐってきやがる・・・
ふと手を捕られ、持っていかれた先に硬く逸ったコイツのイチモツを握らされて頭の中心が痺れるような
感覚に陥った。
「放せバカッ!ヘンタイッ!」
そう言うつもりだったし・・・普段なら当然そう言ってた。
でもそのときの俺はどうにも調子がおかしかったのかイチモツ握った瞬間にハラの中がぐるぐる掻き回される
ような感じになって、
それがすげえ気持ちよくって・・・
なんだかもっともっと掻き回して欲しいとか思ったりしてて。
そう・・・もっと・・・こう・・・・・・
激しくコイツに何かされてみてえとか、ワケわかんねえ気分になって・・・
そんな雰囲気に呑み込まれるように言ってしまったそのひと言が・・・・
「白夜・・・なあ・・・・・しちゃう・・・・・?」
「は、、、、?」
「んー・・・だからー・・・・なんとなく・・・・めちゃめちゃしてーとかー・・・・思ったり・・・・・ちょっと興味本位・・・」
「マジでしちゃうって?いいの遼ちゃん、、、、?」
「んー、一緒にシゴイテ抜いてみねー?」
「シゴクって?手ですんのかよ?」
「あー、ンなもん何だっていーじゃん・・・とにかく出してーオレ・・・なんかマジ限界・・・
ってかはっきし言ってヤベーよ・・・」
「我慢できねー?」
「んー・・・何か触っただけで出ちまいそう・・・・みっともねー・・・・」
「くは、、、エロイこと言うなよ!マジかよ?じゃあ一緒にイっちゃう?どっちが挿れる役?」
「バッカッ・・・!誰が挿れっかよッ!?・・・・って・・・ああ・・・も・・ダメだし・・・・」
「ん、、、じゃあとりあえず抜いとく?」
そう言った瞬間に塞がれた唇の熱さと絡み合った舌先の濡れ加減、オレのと自分のを一括りにして
握り込んだコイツのデカイ掌を感じた途端に頭の中が真っ白になったんだ・・・
握られて揺らされてしごかれて・・・気がついたらてめえの手がアイツのでかい掌ごと包み込んでて・・・
気持ちよくて、たまんなくて、俺たちは夢中で掌を上下させた・・・・・
独りでするときには気持ちの悪リィ、ヌルヌルと溢れてくる液でさえ背筋のゾワゾワを煽りやがる
それから先はハッキリ言って思い出しだくない・・・・
ってかはっきし覚えてねえってのもあるんだけど・・・
俺、何て言ったけ?
一回出した後、余韻に流されてアイツの肩にしがみついて・・・
「抱いて・・・・なあ白夜・・・・・・・・抱いてくれよ・・・・オレ・・・・お前だったらイイかも・・・・・・」
「バカ、、、ヘンなこと言うなよ、、、ソノ気になっちまう、、、マジでやべえぜ俺?」
「るせー・・・ごちゃごちゃ言ってねえでさ・・・・滅多にねえ気分なんだからー・・・・」
あれは夢か幻か?今から考えりゃ空恐ろしさに悪寒が走るぜ・・・・!
が、心なしか鈍く痛いハラの下あたりの感覚が嫌ーな答えを突き付けてくるようで正直真っ蒼・・・
ううーーー
後悔、なんて言葉で片付く位の軽いモンならよかったんだけどー・・・・
あー、まったくもって至上最悪自己嫌悪・・・・・
マジでヤベェ・・・よ・・・・
相棒としちまったなんて・・・・
誰に相談出来るってんだよ・・・・・?
○・・・・・・・・・・○・・・・・・・・・・○・・・・・・・・・・○・・・・・・・・・・○・・・・・・・・・・○・・・・・・・・・・○・・・・・・・・・・○
陽が傾き出した午後の部屋に背中合わせに丸まって。
未だに寝返りも打てないままに。
気の合う仲間だと、
最高の相方だと、
自負していた親友同士の白夜と遼二は同じ悩みに同じように頭を混乱させて。
そんな2人の心中を知ってか知らずか、秋の陽射しは無情にもやわらかく彼らを包んで降り注いでいた。
あー、、、暑ちィー、、、、寝返り打ちてー、、、、布団剥ぎてー、、、
ってかその前にションベン行きてーけど・・・・コイツに気づかれんのヤダし・・・・
おい、、、もう気がついてんだろ遼二、、、
なあもう起きてんだろ白夜よー・・・
あーーーーーもうマジ最低ッ
と、互いのハラの中を探り合っては苛立ちを募らせながらも、未だに微動だに出来ずにいる白夜と遼二の
甘い欲望の絡んだ災難は、実はこのときまだほんの始まりを告げたばかりであったのだった。
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