蒼の国-Destiny Love- |
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何回目かの朝が来て・・・
朝陽がきらきらと輝くやわらかな春の日。
廊下に出た遼二と倫周は目が合った途端にお互いの姿を映して瞳をくりくりとさせた。
「何だよ?」
同時にそんな言葉を掛け合って、くすりと笑う。
「何?その格好、派手だなあ・・・」
「お前だって!人のこと言えるかっ!」
遼二は真っ黒のスーツに真っ黒のシャツ、真っ黒の靴、と全身黒ずくめだ。
倫周の方は白いシャツに朱赤のスーツ。お互いに呆れた表情で相手の服装を見つめた。
ふい、と倫周は瞳を閉じると軽く微笑んで言った。
「これはさ、お前の愛の証、なんだ。お前が俺を紅く染めて守ってくれるんだろ?」
そう言うとちらりと遼二の方に目をやって。遼二は赤面してしまった、、、
「ばっ、ばか野郎っ、、!急に何言うんだよ、、」
なんでこいつはこういうことをいつも平気な顔して言うんだろう、、、?
全く人の気も知らねえで、、、
そんなことを思いながらふと微笑むと。
「俺はさ、どんな”色”が来てもお前を守ってやるからよ、どんな色をも吸収する黒、にしたわけ。
わかったか?お前はほっとくと危ねえからな、俺が付いてねえっていうと、さ。」
そう言うと片目を閉じて照れる気持ちを隠すように倫周を見つめた。
かっこつけて!
2人はお互いの顔を見ながら同時に噴き出してしまった。
「遼・・・」
ふっと、すぐ側に立つ存在をめがけて飛び込むと、倫周は自分よりも背の高い胸元に頬を寄せて
軽く瞳を閉じた。
「遼二・・・好きだよ・・
ね・・・・今夜は遼に包まれて眠りたいな・・いつもみたいに・・・・」
「ばっ、ばか、、、何言ってんだよ、お前、、、
まだ朝だぜ、、、、」
そう言ったけれど、遼二も心が何となくくすぐったい感じがして、胸の中の存在がより愛しく感じられる。
「いいぜ。じゃ今夜は一緒に眠ろう、、、、」
「うん・・・」
一緒に眠ろう・・・なんて、今までだって数え切れない程の眠りを共にしてきたくせに
何だかとても新鮮な響きに聴こえるようで、2人は朝まだ早い廊下でしっかりと抱き合いながら
軽く、触れるだけのキスを交わした。
「さ、行くぞ。今日から又 仕事だ。」
そう言って遼二は黒曜石の瞳をやさしそうに細めて見せた。
「やあ、来ましたね。今日から又がんばってもらいますからね!」
階段の下から明るい高宮の声が聴こえる。
周りには帝斗のやわらかな顔があって、紫月もいつものクールな笑顔で微笑んで。
ビルが愛用のマグナムを構えてみせると、京が指でそれを打つまねをする、
信一と剛が抱き合いながらウィンクをとばしてきて、
安曇も微笑む、その隣には安曇より背の高い蘇芳が微笑んでいて。
すうーっとリビングのドアが開いて端整な佇まいで颯爽とこちらに向かって歩いてくる端整な姿。
「おはようございます皆さん。」
遼二と倫周に気が付くと利発そうな声がはっきりと言った。
「遼二さん、何ですか?その格好。派手というか気障というか、、、倫周さんまで。まあお似合いでは
ありますけどねぇ、今度の仕事先はホストクラブか何かですか?」
くりくりと大きな瞳を見開きながら高宮の方を見てそう言った。
「お前なあ、相変わらず、、、」
そこまで言うと遼二はくすっと微笑って走り出した。
身軽に階段を駆け下りると。
「そうなの!今度はホストクラブよ〜潤ちゃあんっ・・・」
そう言って利発な声の持ち主にキスをした。
「うわーっ、、!遼二さんったら、冗談が過ぎますよーっ、、助けてーっ、、!」
2人の追いかけっこが始まって。
皆 面白そうに笑って見ている。
誰しもが心からの笑顔を讃えていて。
「遼!もう許してやれって。」
階段を降り切った倫周が微笑みながらそう言った。
〜終〜 |
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