蒼の国回想編-Dead or Alive Recollection/Forever-
------あれから10年。

     麗、俺は日本に帰って来たよ。

     佐知子も元気だ。

     遼二も、そして倫くんも、立派に成長したよ。

     お前があれ程までに愛してやまなかった倫くんと、今日これから会うんだぜ?

     遼二と一緒に久し振りに家に帰って来るんだ。

     なあ麗・・・

     倫くんはな、今日本じゃすごい有名なんだぜ?遼二と一緒にバンドを組んでメジャーデビューしたんだ。

     すごい人気があってな、、、

     お前、生きてたら驚いたろうな------








親父・・・・



「おいっ、親父ったらっ!」

大きな声でそう呼ばれて僚一は はっと後ろを振り返った。

「あ、ああ何だ遼二、、、」

「何ぼーっとしてんだよ?もう年か?」

「酷いなあ遼二、、、ちょっと考え事してただけだよ。」

「それならいいけどよ、あんまり心配させんなよっ」

もう自分の身長を遙かに超えた立派な青年の肩を見上げながら僚一は微笑んだ。

「なあ親父さぁ、俺たち来週からNY行くんだ。」



え?



「レコーディング!初めて向こう(海外)でやるんだぜ。だから一ヶ月くらい留守にすっからさ。

東京のマンション、一度くらいは様子見に行ってくれよなっ!」

「ああいいよ。わかった、行っておく・・・

へぇ・・・NYかぁ・・・懐かしいな。俺が初めて麗に逢ったのもNYだったな・・・・」

そんな言葉に倫周がくるりと振り返って。

「そうだったんですか・・・へぇ、楽しみだな・・・」



・・・・・・・・・・!



「麗・・・・・・!」



「え?」

一瞬振り返った倫周の姿は誠、若き日の麗に瓜二つで、僚一はしばらく言葉を失った。



「いや、何でもないよ。気を付けて行っておいで。今はもう大分変わったんだろうな。

俺達がいた頃はまだ何にもなかったけどな。あ、、、そうだ遼二、向こう行ったらあそこ行くといい!

旨い寿司屋があるんだ。SOHOの、Houseton通りのちょっと手前にな、行列が出来る程

人気の寿司屋があってさ。ああ、まだあるのかなぁ、あの店・・・」





麗と行ったあの店・・・・

まだやっててくれるといいな・・・・・





「じゃ、そろそろ行くわ!元気でなっ親父!母さんにも宜しく言って。」

「ああ、、、遼二、、、、今日は泊まっていけば、、」

そう言い掛けて、僚一はそれ以上言葉が出なかった。

歩き出した遼二の手が、自然と倫周の肩にまわされていて・・・・

あまりにも自然にそうされた、逞しい遼二の腕に、そしてその腕の中で安心したように自然に肩を預ける

倫周の姿が・・・言葉をとめて・・・・・・





「ああ?いいよ、明日、早いんだ。朝いちで新幹線乗るからよ、それにどうせ荷物はホテルだし。

NYから戻ったら又 土産でも持って来るからよっ!じゃ、、なっ」

遼二が明るくそう言って手を振ると、側にいた倫周も軽く頭を下げた。

にっこりと微笑んで。

2人は一緒に歩き出すと、ぴったりと寄り添うように肩を寄せながら去って行った。

その後ろ姿が見えなくなるまで見送った。





------麗・・・見たか?

     きっとあの2人は・・・いや、あの2人も俺たちと同じように・・・・・





     俺たちの叶えられなかった夢を、あの2人が・・・・

     受け継いでくれたのかな・・・・

     麗、いつか天国でお前に会ったら今日のことをいちばんに報告するよ。

     俺の遼二と、お前の倫くんが仲よさそうに寄り添って歩いてたこと、、、

     いちばんに、お前に伝えような------







                                                    〜FIN〜